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更新日:2019年10月1日

静岡県農林技術研究所

No.59/ 2019年10月/ 研究所ニュース

視点

オープンイノベーションの推進~次世代栽培システム科の取り組みについて~ 研究統括官 大石直記

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 農業を核としたオープンイノベーションの拠点であるAOI-PARC(沼津市西野)が誕生して今年で3年目を迎えました。AOI-PARCには最先端の研究開発を行う慶応義塾大学、理化学研究所や県内外の民間事業者等で構成されるAOIフォーラム会員が多数所属しており、オープンイノベーションを活用してそれぞれの事業化目標の達成を目指しています。次世代栽培システム科もその推進役として、主に民間事業者の新規事業化や事業拡大を支援するため、高度な環境制御や成分分析技術等を活用したシーズ技術の開発とその実用化に取り組んでいます。
 次世代栽培システム科の研究内容は、①植物成育に対する環境応答の解明、②植物機能性に対する環境応答の解明、③民間事業者支援の研究開発、で構成されます。①植物成育に対する環境応答の解明では、葉面積など植物の光合成機能の動態を非破壊評価するためのセンサ開発や様々な環境を再現できる次世代型栽培実験装置等を活用したワサビ育苗の効率化に取り組んでいます。また、②植物機能性に対する環境応答の解明では、最新の高度分析機器によるカロテノイド類等の機能性成分の効率的な分析技術の確立に取り組んでいます。さらに、③民間事業者支援の研究開発では、①、②の知見や技術を活かして、人工光利用型植物工場におけるベビーリーフの安定生産、生食用ケールの周年栽培マニュアルの確立、機能性表示食品の届出に関わる栽培技術支援等を行っています。
 そして本年度から、研究用温室を活用した研究開発にも着手しました。本温室は、軒高4mのフェンロー型(約115m2×2区画)で統合環境制御システムを装備し、両区画の温・湿度、CO2濃度等をそれぞれ設定することが可能です。また、イチゴ、トマトにおける現場課題を迅速に解決するため、温室環境はもちろん、これまで取得が困難であった植物の成育状態に関わる多種多様なデータを総合的に解析し、高品質・多収化のための効率的な栽培管理システムの構築を目指します。
 以上のとおり、次世代栽培システム科はシーズ技術の開発のみならず、民間事業者や生産現場の課題解決に取り組んで参りますので、今後とも研究活動への御協力・御支援をお願い致します。

研究情報

水田土壌における新しい可給態ケイ酸評価法

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 ケイ酸は植物の必須元素ではありませんが、水稲では100kg/10a以上吸収され、健全な生育と高収量を得るための重要な元素です。水稲に対するケイ酸の効果は、①シリカ層が形成され病害虫に対する抵抗性が増す。②組織が丈夫になり倒伏しにくくなる。③葉が直立し受光態勢が良くなる。④根の酸化力が高まり、根腐れ、秋落ちが軽減され、品質向上と増収につながります。
 このように重要な働きをするケイ酸ですが、近年図1に示したようにケイ酸質肥料の流通量は減少しています。これは米価の低迷による肥料コストの削減と、高齢化による散布労力の減少のためと推定されます。生産現場では高温障害である白未熟粒が多発していますが、ケイ酸質肥料の施用減少も原因のひとつと考えられています。
 この問題解消のためには、土壌中ケイ酸の改善基準を設定して適正な施用を行うことが必要です。そのため今後は、稲のケイ酸吸収量と相関のある可給態ケイ酸の新しい分析法により、改善基準値を策定するための研究を進めてまいります。
(農林技術研究所 栄養・機能性科 主任 若澤秀幸)

レモネードの香り成分を活かした6次産業化支援

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 レモネード(写真1)は、JAなんすん管内で産地化が進んでいるカンキツで、外観はレモンに似ていますが、レモンのような強い酸味がないため生果をそのまま食べることができ、その意外性から人気が高まっています。産地では、生果の販売だけでなく、その豊かな香りを活かした新商品の開発を目指していることから、当センターにおいてレモネード果汁の香気特性について検証を行いました。
 レモネードおよびレモンについて、その果汁中の揮発性成分を測定したところ、特定された成分数はレモネードで多く、α‐Pinene(グリーンの甘い香り)などのヒトが好ましい香りとして感じることができる成分がレモネード果汁中から多く特定されました。更に、野菜ソムリエ等の有資格者で構成された集団により、香気特性の評価を行ったところ、「甘い」を除く6項目でレモネードの得点がレモンに比べて高い傾向がみられました(図1)。以上から、レモネード果汁の香気はレモンとは異なる特色があり、この香りを新商品開発に活用していくことが可能であると考えられます。今後は、この豊かな香りを活かすことで、用途や需要が増加し、レモネードの更なる認知度向上とブランド化が図られるよう、6次産業化を支援していきます。
(伊豆農業研究センター 生育・加工技術科 主任研究員 浜部直哉)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466