• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 組織別情報 > 経済産業部 > 農林技術研究所 > 研究所ニュース > 詳細

ここから本文です。

更新日:2021年5月25日

静岡県農林技術研究所

No.69/ 2021年6月/ 研究所ニュース

視点

「生産力向上」と「持続性」の両立の時代  所長 塚本忠士

画像:

新成長戦略研究(上)とAOIーPARCにおける高糖度高機能性トマトの栽培実証試験(下)

 本県には、農林技術研究所を含め5つの県立研究所(畜産技術、水産・海洋技術、工業技術、環境衛生科学)があります。これらの試験研究機関では、本県の新たな成長に貢献することを目的とし、産学官の連携による「新成長戦略研究」が実施されています。本年度は全体で15課題、うち当研究所では表の6課題を実施しています。産業界の要望を受け、「生産性の革新」「マーケットにおける市場競争力の強化」「安全・安心」といった視点から、農林業の成長産業化を推進するためのブレイクスルーとなるような新たな技術開発に取り組んでいます。
 また、H29年度に県が設置したイノベーション拠点AOI-PARC(沼津市)には当研究所の研究員が駐在して革新的栽培技術の開発に取り組んでいます。ここで産まれた「高糖度・高機能性トマトの安定生産技術」等の成果の現地実証が、すでに東部・富士地域で始まっています。
 さて、昨年11月に2020年農林業センサスが公表されました。県内の農業経営体数は前回2015年より21.7%減少ですが、一方で法人経営体数は13.2%、販売金額1億円以上の経営体は25.3%、経営耕地面積10ha以上の大規模経営体は19.7%それぞれ増加しています。こうした成長を続ける経営体は生産性や収益性の向上につながる技術への関心は高く、研究所は現場の意見、要望をきちんとつかみ、関係機関と連携して、研究開発や技術支援に取り組んでいきたいと思います。新たな動きとして農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を公表しました。2050年までに「農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現」「耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万haに拡大」「エリートツリー等を林業用苗木の9割以上に拡大」等の高い目標を掲げています。
 農林業生産においても、「生産力向上」と「持続性」の両立が必要不可欠の時代になります。当研究所は、県内試験研究機関、国、大学等と連携して、「経済と環境の好循環」に寄与する農林業の技術革新に挑戦していきます。

研究情報

AIによるイチゴ病害虫の診断

画像:スマホアプリ画面の例

スマホアプリ画面の例

 近年スマート農業技術の一環として病害虫の早期診断と防除の自動化に対するニーズが高まっています。
 当研究所は農林水産省委託プロジェクト研究「AIを活用した病害虫診断技術の開発(H29-R3)」に取り組んでいます。研究機関が収集した、信頼性が高くて多様な病害虫被害画像を学習用データとして診断専用AI識別器を開発し、現場データなどで検証を重ねることで、類似度が高く識別が難しい病害虫画像で平均識別率80%以上(R3年度)が見込まれる、実用性が高いモデルが構築されています。
 精度検証中のスマートフォンアプリ(図)は事業完了後に無料版が公開されるとともに、有料で商業利用が可能になります。また、作目の追加や、学習用データ及びAI識別器の農業データ連係基盤WAGRI (https://wagri.net/)上での公開が進められており、民間企業等による成果の活用が奨励されています。
(農林技術研究所 植物保護・環境保全科 上席研究員 伊代住 浩幸)

閉鎖型採種園におけるスギ種子の早期生産技術の開発

画像:閉鎖型採種園の母樹

閉鎖型採種園の母樹

 従来のスギ種子生産は露地に植栽した母樹を用いた方法が一般的で、生産量が安定するまでに時間がかかります。そこで、果樹栽培で実用化されている約40ℓのコンテナで育成する根圏制御栽培法を応用し、種子の早期生産技術を開発しました。また、ビニールハウス内で母樹を育成することで閉鎖型採種園としました。閉鎖型採種園にするメリットは、目的母樹同士の確実な交配ができることです。
 研究では、定植1年目の若齢木で17.2g/本と従来採種園10年生母樹の20g/本と遜色のない種子生産量でした。
 また、定植2年目の母樹で31.2g/本、3年目で45.8g/本の種子生産量となりました。従来採種園は3年に1度の収穫であるのに対して、本方法は生産量を落とすことなく連年で収穫することが可能であったことから、従来採種園よりも生産サイクルを早くできることが分かりました。また、従来採種園の平均発芽率が約20%であるところ、人工交配を実施することによって、閉鎖型採種園では約40%の発芽率へと向上することが可能となりました。
(森林・林業研究センター 森林育成科 上席研究員 山田 晋也)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466