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更新日:2021年8月1日

静岡県農林技術研究所

No.70/ 2021年8月/ 研究所ニュース

視点

茶業研究センターの重点研究について 研究統括官 松浦英之

 近年、海外における和食ブームと相まって、世界中で緑茶に対する認知度が上がっていると考えられます。
 一方で、国内に目を向けると、近年、世帯構成やライフスタイルの変化、嗜好の多様化、飲用形態の変化等により、緑茶のうち特に急須で淹れて飲む、いわゆるリーフ茶の需要は減少の一途を辿っています。これまで高単価で取引されてきたリーフ茶の需要の減少により、市場価格は低迷し、茶業従事者の減少や耕作放棄茶園の増加など、茶をめぐる情勢は厳しい状況が続いています。このため、本県の茶生産について、需要に応じた生産構造への転換が求められています。
 このような情勢の中で、近年、茶の消費形態として定着し、大きな市場を形成している「ドリンク茶」や、市場が急速に拡大し今後さらなる成長が期待される輸出向け「有機茶」について、その振興が急務となっています。そこで、茶業研究センターでは、令和2年度からの新成長戦略研究として、【荒茶販売額を倍増する「静岡型ドリンク向け茶生産システム」の開発】と【世界市場に向けた新時代の「静岡茶アクティブ有機栽培技術」の開発】に取り組み、「ドリンク茶」、「有機茶」について、プロジェクト研究として、重点的に研究開発を行っています。ここではそれら研究の内容を紹介します。
【荒茶販売額を倍増する「静岡型ドリンク向け茶生産システム」の開発】(令和2年~4年)
 本研究では、「静岡型ドリンク向け茶生産システム」を開発することで、茶業経営体における荒茶販売額を増加させ、茶業経営体の経営発展を図ることを目的にしています。研究内容としては、①茶園の大規模化・機械化を加速化するため、茶園基盤整備基準と効率的な大型機械利用基準の策定に向けた研究を行い、ドリンク向け茶経営モデルと合わせた静岡型茶園管理規格を示す。②毎年安定して多収栽培を行うため、ドローン等を活用したセンシング技術、多収摘採パターンの確立、多収品種の選定、堆肥による土壌の肥沃化技術を開発する。③製茶機械導入コストと燃料コストが低く、製茶加工時間の短いドリンク向け製茶ラインを開発するとともに、抽出性が高い等、ドリンク向け茶に適する製造技術を確立する。の3項目に取り組んでいます。
【世界市場に向けた新時代の「静岡茶アクティブ有機栽培技術」の開発】(令和2年~4年)
 本研究課題では、茶有機栽培における技術的課題の解決を行うことで、茶有機栽培の収量性・収益性を向上させるとともに、魅力的で儲かる有機栽培を成立させることで、県内の茶有機栽培面積を拡大し、本県茶業の新たな振興を図ることを目的にしています。研究内容としては、①物理的防除法等により積極的に防除を実施し、二番茶以降も安定した収量が期待できる病害虫防除体系を確立する。②堆肥施用による土づくり、土壌マルチセンサーによる有機質肥料の施用管理技術を確立し、収量・品質の向上を目指す。③園地内雑草を対象とした除草機の開発、種子食性昆虫等を用いた生物的除草法について研究を行い、茶有機栽培における除草作業時間の半減を目指す。の3項目に取り組んでいます。
 茶業研究センターでは、これら研究開発を通じて、今後も茶業界への貢献を図ってまいります。

研究情報

ニホンナシの発芽不良に対応する施肥体系の検討

画像:開花期のナシ(上:通常年、下:発芽不良年)

開花期のナシ(上:通常年、下:発芽不良年)

 近年ニホンナシでは、地球温暖化の影響による発芽不良が発生しています。これは、暖冬により芽の耐凍性が高まらないまま、初春に急激な温度低下に遭遇した結果、開花の不揃いや花芽の枯死が起こる生理障害で、人工受粉の効率低下や収穫量の減少につながるため、大きな問題となっています。
 この発芽不良は、これまでの農研機構等の研究により、肥料の散布時期を通常の秋冬季から春季に変更することで、発生が大幅に軽減されることが明らかとなっていますが、その後の追肥については触れられていません。また、生産現場では担い手の減少と高齢化が進行しているため、作業の省力化も求められています。
 そこで当センターでは、発芽不良の抑制と省力化を目的とした施肥体系を検討しています。具体的には、年間に必要な肥料成分をカンキツ等で普及している肥効調節型肥料を用いて3月の春季に一発施用する方法です。堆肥等の有機物は別途施用する必要がありますが、発芽不良の発生抑制と施肥回数の削減の両方が期待できます。これらの試験は肥料メーカーの協力の下、令和4年度からの新規課題の中で実施する予定です。
(果樹研究センター 果樹加工技術科 研究員 大槻 拓海)

カーネーション2年切り栽培技術

画像:切り戻し~2年目収穫時期の様子

切り戻し~2年目収穫時期の様子

 カーネーション栽培において、1度植え付けた苗を2年間継続して栽培する「2年切り栽培」は、低コスト化技術として有効であり、主要なカーネーション生産国である南米やヨーロッパでは主流の生産技術となっています。一方、国内では1990年代以降、一部の産地で試行されたものの、現状では1年ごとに株を更新する従来の方法がとられています。その原因として夏季の立枯れや、2年目の切り花の茎が細く軟弱になるといった品質確保の難しさ、芽整理等管理の煩雑さが考えられています。
 そこで安定した2年切り栽培に向け、切り戻し方法や整枝方法といった栽培技術の開発に取り組みました。その結果、切り戻しは1年目の栽培終了後、5月末と6月末頃の2段階で行い、6条植えを4条植えに調整し、その後発生する分枝は放任とすることで、夏期の立枯れを抑え2年目の採花本数増加と切り花品質を確保できることが明らかになりました。また、2年切り栽培における切り戻しや整枝にかかる作業時間は慣行の植え替え作業と比較し60%以下に削減できることが明らかになりました。
 この成果を受け、令和3年度から伊豆地域の2軒のカーネーション生産者が同技術による2年切り栽培に取り組んでいます。今後も経営コストを低減させる、カーネーションの新たな作型の開発や、生産性向上に向けた技術開発を進めてまいります。
(伊豆農業研究センター 生育・加工技術科 上席研究員 加藤 智恵美)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466