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更新日:2012年11月28日
平成 23 年度の静岡県における野生動物による農林産物被害額は5.6億円で、前年度に比べ7千万円余り減少したものの、目標とする4億円を大幅に上回る状況が続いています。
加害獣別では、イノシシが最多で 49%を占め、シカが 25%、サルが 13%で続き、この3種で全体の9割に達しています。
被害の増加は農林家の生産意欲を減退させ、耕作放棄地の拡大にもつながるなど、中山間地域を衰退させかねないことから、被害対策の強化が急務です。
シカについては、平成 22 年度から新成長戦略研究プロジェクトとして「ニホンジカ低密度化のための管理技術の開発」を進め、地域ごとのシカの行動特性等を明らかにするとともに、低密度化につながる各種技術を開発・普及するなどの成果を上げてきました。
この成果を活用して、来年度からは、主要な加害動物であるイノシシについても、シカ対策と一体的に研究を進める予定です。
これまで各地域で進められてきた動物被害対策は、ややもすれば対症療法的な対応にとどまってきました。
今後は、科学的な調査研究に基づき、野生動物の生息地・個体数と被害の管理を、状況に応じて組み合わせ、総合的に調整する「ワイルドライフ・マネジメント(野生動物保護管理)」の概念を取り入れる必要があります。
将来的には、野生動物の包括的な保護管理を研究するとともに、各地域の被害対策を適切に支援できる体制を構築し、人と野生動物と森林・農地などの土地利用の調和のとれた共存を目指す必要があると考えます。
○(独)農業環境技術研究所と静岡県が共催で、茶園における環境負荷軽減研究や生物多様性保全研究の最新の成果を、広く一般県民、農業関係者に紹介します。
1 日時 平成25年1月22日(火) 13:15~16:50
2 場所 静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ 10階会議室
静岡市駿河区池田79-4
3 問合先 農林技術研究所 企画調整部
○マーガレット「カーニバルクイーン」が、平成24年11月14日に品種登録されました。
登録番号第22066号
施肥削減
静岡県のパセリは県内西部を中心に栽培されていますが、県が策定した施肥基準の中で最も施肥窒素量が多く(68kg/10a)、施肥回数も年 4 回と多いことから、施肥量削減と省力化が求められています。そこで速効性肥料と肥効調節型肥料を組み合わせて施用する施肥法を開発しました。
肥料は、速効性肥料:肥効調節型肥料 70 日溶出型:肥効調節型肥料 100 日溶出型を、窒素成分で1:7:2に配合しました。肥料は畝の表面に均一に施用し、軽く覆土しました。これにより、施肥窒素量を慣行より 3 割削減し(48kg/10a)、施肥回数も 4 回から 1 回に減らせました。さらに販売単価が高い年内の収量が増加しました。栽培終了後の跡地土壌には、可給態リン酸、交換性カリ等の肥料成分の残存量が少なく、効率的な施肥であることがわかりました。
この施肥法は県西部のハウス栽培(6月下旬は種、収穫期間 11月~4月の作型)に適用できます。
詳細は、「H23あたらしい農業技術(H24年3月発行)で紹介しています。
温州萎縮ウイルス濃度測定結果
温州ミカンに大きな被害をもたらす病気に、「温州萎縮病」があります。
この病気は温州萎縮ウイルスによって引き起こされ、使用できる農薬がほとんどないことから、防除の難しい病気です。
果樹研究センターでは、病原性の低い温州萎縮ウイルス(弱毒系統)の利用と、耐病性台木の利用の 2 つに注目して、本病の防除に関する研究に取り組んでいます。
弱毒系統のウイルスは、予め植物に感染させることで、発病を抑制するワクチンのようなはたらきがあります。そこで、リアルタイム RT-PCR という手法を使って温州萎縮ウイルスの濃度を測定し、本病に感染しているカンキツから弱毒系統のウイルスを選び出す方法を開発しました。
また、本病に耐性のあるカンキツにナツダイダイ・カラタチ交雑個体がありますが、樹勢が強く台木としての利用に適さないことが分かっています。そこで、この交雑個体の植物ホルモン濃度を測定し、栽培に適したわい性の個体の候補を選抜しました。
今後は発病の抑制効果を確認し、新しい防除方法の開発を目指していきます。
お問い合わせ先
静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466