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ホーム > 組織別情報 > 経済産業部 > 農林技術研究所 > 研究所ニュース > 詳細

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更新日:2024年2月1日

静岡県農林技術研究所

No.85/ 2024年2月/ 研究所ニュース

視点

林業経営の継続性の確保に向けて 技監 藤田 巌

画像:

【上】ニホンジカ(GPS首輪装着)、【中央】早生樹(テーダマツ)育苗、【下】森林・林業研究センター本館

 森林・林業研究センターは、遠州鉄道・天竜浜名湖鉄道の西鹿島駅から西に歩いて約15分ほどの丘陵に立地しており、昭和32年に林業試験場として開設されて以来、今年で68年目を迎えます。
 さて、育成期間が長期にわたる林業では、研究においても結果が出るまでに長期間を要することが多くあります。当センターでは、新技術の試行、国や他県の研究機関との連携により、研究のスピードアップに取り組み、得られた成果は、農林事務所、関係団体と連携しながら、速やかに普及・定着するよう情報発信や技術支援を行っています。また、県民を対象とした出前講座、小中学生等を対象とした森林教室の開催を通じ、研究成果の普及や森林・林業、木材の理解促進に努めております。
 当センターでは、育種・育林・素材生産などの林業や木材・きのこなどの林産物に関わる試験研究を行っておりますが、農林業における獣害対策についても重要課題と位置づけ、林業職の研究員に加え、農業職及び畜産職の研究員各1人の計3人で研究に臨んでいます。令和2年度には、ニホンジカを牧草で誘引することにより、効率的に捕獲する手法を確立しました。これは現在、県が実施するシカの捕獲事業に活用されています。この手法のさらなる改良やシカの頭数の減少に効果的なメスジカの捕獲効率を向上させるための行動解析、造林地に侵入し苗木を加害するノウサギ対策、既設のイノシシ用電気柵を活用した農地におけるニホンジカ用の侵入防止柵の開発に取り組んでいるところです。また、最近みかん等の果樹園に生息域を拡大しているニホンジカについても、関係団体と連携し調査を進めています。
 このほか、新成長戦略研究として、成長が早く木材として短期間で収穫できる「早生樹」による新たな森林経営モデルの開発に取り組んでおり、建築材料やバイオマス発電等の燃料として利用可能な樹種の選定、苗木の効率的な増殖方法や天然更新が成立する条件を調査しています。これまでの研究により、建築材料としての強度や天然更新の条件を明らかにしました。林業経営の継続性を確保し、木材を持続的に安定供給するためにも、獣害対策と早生樹の導入は、今こそ必要な研究であると認識しています。
 立春が過ぎ、当センターではモクレンや早咲きの桜のつぼみが膨らみ始めました。構内の樹木園には、国内外の約1千種1万本もの様々な樹木が植栽されており、四季折々の自然の移り変わりが楽しめます。近くにお越しの際は、是非お立ち寄りいただければと思います。

研究情報

ヒュウガナツのカットバック

画像:カットバック後の樹の様子(左:処理直後、右:処理3年後)

カットバック後の樹の様子(左:処理直後、右:処理3年後)

 ‘ヒュウガナツ’は、ニューサマーオレンジの名称で伊豆の特産品として販売され、地域の農業と観光業を担う重要な品目です。しかし近年、樹齢の経過による生産力低下に加え、樹高5mを超える生産樹が多くみられ、栽培管理に多大な労力を要する園地が増加し、耕作放棄地増加の一因となっています。そこでカットバック処理※により樹高2m程度に生産樹を再生し、作業性改善および収量回復に繋がる栽培技術開発に取り組んでいます。
 これまでに処理3年後の収穫量は、未処理の樹において、はしごを使わずに収穫できる分と同等まで回復し、全ての作業を地上で行うことが可能になるため、作業を大幅に省力化できることを確認しました。
 今後は、適用できる品種の拡大、処理後に発生する新梢の仕立て方、処理~再生時の肥培管理を検討していく予定です。

※主幹を地際部から50~60cm残して地上部を全切除する処理方法。処理後新たに発生した枝で樹を再生させ、コンパクトな樹形に仕立てることで作業性の改善が見込めます。

(伊豆農業研究センター 生育・加工技術科 科長 加藤智恵美)

長期貯蔵に適するウンシュウミカン新品種「春しずか」の育成

画像:‘春しずか’果実の様子

‘春しずか’果実の様子

 静岡県は‘青島温州’を主体とする温州みかん産地で、11月下旬に収穫を始めた果実を貯蔵し、年明けから3月初めくらいまでの間、計画的に出荷します。産地からは‘青島温州’と同等かそれ以上の品質を持つ貯蔵性の高い品種の育成が望まれており、当センターではその要望に応えるため、‘青島温州’と着色時期が異なったり、浮き皮になりにくい品種の育成に取り組んでいます。
 今回紹介する‘春しずか’は2001年に(国開)理化学研究所との共同研究により、当センターで育成した「S1152」(青島温州珠心胚系統)に重イオンビームを照射した個体の中から選抜・育成したもので、2021年6月に品種登録出願し、同年11月に出願公表されています。
 ‘春しずか’は、‘青島温州’と比較して着色時期が遅く、貯蔵中の品質低下を招く浮き皮果の発生が少ない特徴があります。加えて、‘青島温州’より約1ヶ月遅い12月下旬から1月下旬にかけて収穫しますが、収穫時点におけるクエン酸含量が高く、その後のクエン酸の減少もおだやかであるため長期貯蔵向きの品種です。また、‘青島温州’と収穫時期がずれるため、労力分散・規模拡大に寄与することが期待できることから、今後の産地での普及が楽しみな品種です。      
                
(果樹研究センター 果樹生産技術科 上席研究員 渡村加奈子)


お問い合わせ先

静岡県農林技術研究所
〒438-0803 静岡県磐田市富丘678-1
電話番号:0538-35-7211 ファックス番号:0538-37-8466